紀南アート・レジデンス vol.3 開催

紀南アートウィークでは、2023年の紀南アート・レジデンス Vol.1、2024年の紀南アート・レジデンスVol.2に引き続き、紀南アートレジデンス Vol.3を開催いたしました。

国内外からアーティストを招聘し、紀南地域に滞在してもらう中で、地域の様々な文化や歴史などについてのリサーチを行い、そこから触発された作品制作やアート・プロジェクト等を展開するプログラムです。
毎年1名−2名程度のアーティストの募集を行っていきます。

本年度は、オランダ出身の現代アーティストのヘアート・ムル(Geert Mul)に引き続き、黒木 由美(Yumi Kuroki)を招聘いたしました。

福岡出身の陶芸作家の黒木は、「生きるだけのいきもの」をテーマとし、窯の中の焼成を生かした釉薬による造形表現を追求しています。
彼女は、針金と釉薬を用いた独自の制作技法で作品を制作しており、到底計算どおりの物は出来ず、釉薬と針金が熱で膨らみ溶け合い生き物のような成り立ちで窯から出てきた時の高鳴りを求めて日々実験的な制作を行っています。
それらの行為は、「あるものを生かし」時に「無意味を受け入れる」普遍的な生活のなかで小さなところに寄り添える作品づくりを目指していると黒木は語ります。

私たちは、それらの制作過程が今回の展覧会テーマの「粘菌」に近しいものを感じ、今回のアート・レジデンスで紀南において、農家や協力者たちから得た廃材を使って作品制作に取り掛かっていただきます。

<レジデンス概要>

期間:7月12 日から7月19日
滞在:トーワ荘(和歌山県田辺市街地)

<レジデンス・アーティスト>

黒木 由美(くろき ゆみ)
1991年福岡市生まれ。陶芸作家。
「生きるだけのいきもの」をテーマとし、窯の中の焼成を生かした釉薬による造形表現を追求している。
釉薬と土の両方の特性をもつ古代オリエントのファイアンスの研究により、針金と釉薬を用いた独自の制作技法で作品制作を行っている。
美しさや醜さ、増殖や消滅などの相反する意味をもつ泡の質感に惹かれ、泡のように膨らむ釉薬素材と技法、私自身の感情が相互に作用し、形や色となって導き出され、焼成の結果、生きもののような有機的な造形を生み出している。
主な展示に、個展「黒木由美#1」(2022年、二本木、福岡)。瀬戸国際セラミック&ガラスアート交流プログラムにレジデンスに参加(2022年、愛知)。

<滞在の様子>