
紀南アート・レジデンス vol.4 開催
紀南アートウィークでは、2023年の紀南アート・レジデンス Vol.1、2024年の紀南アート・レジデンスVol.2、紀南アート・レジデンス Vol.3に引き続き、2025年の紀南アート・レジデンスVol.4を開催いたしました。
国内外からアーティストを招聘し、紀南地域に滞在してもらう中で、地域の様々な文化や歴史などについてのリサーチを行い、そこから触発された作品制作やアート・プロジェクト等を展開するプログラムです。毎年1名−2名程度のアーティストの募集を行っていきます。
昨年度、レジデンスを行ったオランダ出身の現代アーティストのヘアート・ムル(Geert Mul)が引き続き紀南へ再訪いたしました。
ヘアート・ムル(Geert Mul)は、オランダを代表するメディア・アートの先駆者であり、自然とテクノロジーの関係を思考し続けています。ヘアートは、紀南地域を代表する博学者・南方熊楠に関心を持ち、オランダ政府の助成を得た上で、和歌山県田辺市内、中辺路町、串本町、那智勝浦町において3週間のリサーチを実施し、2025年以降に新作発表を紀南地域において行う予定です。
今回、大木を探して熊野の各地を巡ったヘアートは、大木のそばに谷が横たわり、谷底には川が流れている険しい場所であっても、迷いもなくその谷を下って撮影を試みます。
また、道中にふとめぼしい木をみつけては車を止め、大木に近づいてみるとそれは、その土地の氏神様が祭られている小さなお社の傍にある大木で、特別に装飾されているわけではなかったのですが、確かに際立った存在感を放っていました。
独自の審美眼をもったヘアートが熊野の木々に誘われ、対話を重ねている様子が印象的であったとヘアートに付き添いをしてくれたアーティストのAWAYA 福島正知氏が話します。
また、世界遺産である那智の滝で開催された「奥那智の滝リトリート」に参加したヘアートは、普段立ち入ることのできない特別な「神域」と呼ばれる那智の原生林を巡りました。アーティストやアートから少し離れ、原始の森を通して、参加者と交流を深める機会を謳歌しました。
アート・レジデンスはアーティスト同士が刺激しあうことは然り、土地の文化や自然に触れ、繋がりを紡ぐことが作品づくりに大きな影響を与えるのではないでしょうか。
今回ご協力いただきましたAWAYA 福島正知氏に心から御礼申し上げます。
それでは、ヘアート・ムル(Geert Mul)の新作を心待ちにしましょう。
<レジデンス概要>
期間:2025年3月16日から4月5日
滞在:トーワ荘(和歌山県田辺市街地)
<レジデンス・アーティスト>



@Geert Mul
Geert Mul(ヘアート・ムル)
1965年生まれ、オランダ・ロッテルダム在住
ヘアートは、デジタル・アートのパイオニアであり、25年以上に渡り、自然とテクノロジーを巡る探求を行ってきた。版画、映像、映像技術を活用したインスタレーションなど、幅広いメディアで実験的な作品を発表してきている。インスタレーションを通じた自然、人間、テクノロジーと知覚の相互関係は、ヘアートの作品の重要な主題である。
ヘアートの作品は、公共的な場所、美術館、フェスティバルなど、様々な場所で展示されている。美術館でいえば、クレラー・ミュラー美術館(オランダ)、ロッテルダム・ベーニンゲン美術館(オランダ)、アムステルダム・ステデライク美術館(オランダ)、京都国立近代美術館(日本)、マドリッド国立レイナ・ソフィア美術館(スペイン)、バレンシア近代美術館、カルティエ現代美術館(フランス)、シカゴ現代美術館(アメリカ)などで展示されている。





@Geert Mul
<滞在の様子>





