コラム
山に回帰する未来
紀南アートウイーク対談企画#28
〈ゲスト〉
舩渡 雄一朗
紀洋石油株式会社 代表取締役
和歌山の田辺市で1950年に設立されたガソリンスタンド、紀洋石油の4代目社長。34歳の時に父親である3代目社長の跡を継ぎ、現在は田辺市内に3店舗、白浜町に1店舗の店を構えている。「キレイを、長く!」のカーコーティング施工に力を入れている。
当時、いち早く車社会の需要を見越して、地域で最初に設立されたガソリンスタンド。創業から70年以上たち、現在は出光ブランドのマークを掲げている。
〈聞き手〉
藪本 雄登/ 紀南アートウィーク実行委員長
〈参加者〉
下田 学 /紀南アートウィーク事務局長
山に回帰する未来
目次
1.紀洋石油の歴史
2.ガソリン業界の現状
3.山林の有効活用とは?
4.紀南に必要なものとは?
1.紀洋石油の歴史
藪本:
今日はお忙しいところありがとうございます。
紀南地方でご活躍の人に、お話しを聞かせて頂いています。今回は紀洋石油さんが非常に面白いということで、歴史などのお話しをお伺いできればと思った次第です。
自己紹介を含めて、紀洋石油さんのことを教えてください。
舩渡:
はい。創業は昭和25年です。ずっと丸善石油(*)のマークでやってきました。平成15年頃に、田辺市内にも安売りのガソリンスタンドの店ができたのをきっかけに、仕入れが厳しい元売りをやめて、プライベートブランド(*)で営業していました。ただ、ここにきててやっぱりマークがあったほうがいいかと思ったので、3年位前に昭和シェルの系列になりました。2019年に出光興産と昭和シェル石油が経営統合されたので、出光マークになりました(笑)。
*丸善石油・・・1986年に大協石油株式会社、丸善石油株式会社、旧コスモ石油の3社が合併し、コスモ石油株式会社を発足。2016年3月に、コスモエネルギーホールディングス株式会社の連結子会社になった石油化学製品の開発・製造・販売を行う化学メーカー
参照:コスモエネルギーホールディングス株式会社ホームページ
https://ceh.cosmo-oil.co.jp/company/history.html
*プライベートブランド・・・ガソリンの取引経路は、大別して、元売のブランドマーク(商標)を掲げるSS向けの「系列取引」と、当該元売マークを掲げないSS向けの「非系列取引」がある。元売系列以外の非系列SS数と非系列SSにおける販売量の割合は増加傾向にある。
藪本:
紀洋石油さんは、舩渡さんで4代目ですか?
舩渡:
そうです。創業してから70年以上になります。紀洋石油の株主さんは10人くらいいるんですが、地元の名士の方々が株主になっています。
なぜかというと、これから車が増えてくるだろうということで、地元の人たちが、田辺の市長を引退された那須孫次郎さんという方を社長にまつりあげて、お金を出し合って作ったのが紀洋石油なんです。
藪本:
だいぶ先を見通していたんですね。
舩渡:
そうですね。でもなかなか車が増えなくて経営が大変になったようです。それで、初代社長の那須さんの下で専務をされていた、私の母方の祖母の兄が跡を継いで2代目社長になりました。
その社長は、東大の法学部を出て証券会社の重役をされていましたが、戦後は和歌山に戻っていたところを、紀洋石油に引っ張りこまれたらしいです。でもなかなかうまくいかなくて、また社長がかわりました。それが、ぶらぶら遊んでいた僕の父です(笑)。昭和33年頃です。
藪本:
舩渡さんは日置(*)にお住まいでしたね。子どもの頃一度遊びに行かせてもらいました。
*日置・・・日置町(ひきちょう)は、和歌山県西牟婁郡にあった町。現在の白浜町の南端、日置川の河口域、紀勢本線・紀伊日置駅の周辺にあたる。
参照:Wikipedia
舩渡:
うちの父は養子でした。当時は製材業を共同経営してたんですけど、それがだめになって、10年くらい何もせずに遊んでたんですよ(笑)。
藪本:
え⁉そんなことできるんですか。
舩渡:
当時は材木が結構良い値段で売れたらしくてね。
藪本:
そうですね。日置港(*)がありますからね。
*日置港・・・日置港は、豊富な水量に恵まれた日置川の河口に位置し、砂州が自然の防波堤になっている良港であり、古くから木材の集散地として発展した。
舩渡:
昔から山林を結構持っていたので、それを売りながら生活していました。うちの父は、日置のスポーツ振興とか体育協会の会長をやっていました。当時の町長さんと一緒にテニスコートを作ったり、国体を引っ張ってきたりとか、そんなことをやっていましたね。
父が社長になった頃からだんだん車も増えてきて、売上も伸び始めました。それで何とか今までやってこれました(笑)。
藪本:
当時地域で最初のガソリンスタンドでしたよね。
舩渡:
この地域では一番最初でしたね。第一号店は、田辺の栄町というところでした。
藪本:
舩渡さんは大学に行って、そのあとすぐ紀洋石油さんに入社されたんですか。
舩渡:
当時の紀洋石油は丸善石油の代理店だったので、学校を出てから、東京の丸善石油に2年間修業に行きました。25歳の時に和歌山に帰ってきたのかな。10年ほど勤めたあと、父が病気で亡くなったので、34歳の時に社長になりました。
藪本:
バブルの時代もその頃ですか。
舩渡:
バブルの時はまだ父も健在だったかな。でも父が亡くなってちょっとたった頃に、県内に安売りの店が増えてきて、田辺にも出店してきました。それでいっぺんにガタっときて大変でしたね。
藪本:
そこから激しい価格競争になりましたか。
舩渡:
そうですね。最初は安値に対抗していろいろやってみましたが、店の作りも違うので、同じ値段で売るのは難しかったです。
2.ガソリン業界の現状
舩渡:
和歌山県はこの業界では非常に遅れてるんです。まだまだ淘汰がされていない状態です。
藪本:
そこに値下げ競争が一気に来た感じですか。この業界は、仕入れが大きいところが安く売れるのでしょうか。
舩渡さん:
いいえ。この業界は仕入れが多いから値段が安いっていうのは、ほとんどないですね。それよりも系列のガソリンと、系列外のプライベートブランドのガソリンの値段の差が大きいです。
ガソリンには、系列のガソリンスタンドに流すための品物の他に、商社に流す品物があるんです。系列外の品物は仕入れがだいたい5円から6円くらい安いです。
マークをあげないで、系列外の安いガソリンを仕入れて安く売るガソリンスタンドの割合が和歌山県は多いんですよ。勢いが非常に強い。そのため、地域にもともとあったガソリンスタンドが侵食されていってます。和歌山県は特に製油所も近く、系列外のガソリンが流れやすいです。
さきほど、一回プライベートブランドのお店にしたけれど、また元売りのマークを上げることにしたと言いましたが、その理由はこれから系列外のガソリンは減っていくだろうと思ったからです。
今は元売りの数もガソリンスタンドの数も減っているんです。元売りが集約されると、製油所の数も減りますよね。そうやってコストを下げているんでしょう。
そういうことで、系列外のガソリンが減って、今後調達しにくくなるだろうと思って、駆け込みで昭和シェルのマークをあげたんです。
舩渡:
でも和歌山は予想していたより田舎だったようです(笑)。和泉山脈より南に大手系列100%出資のガソリンスタンドが来ないんですよ。
藪本:
マーケットが小さいというわけでしょうか。
舩渡:
そういうことなんでしょうね。大手にしてみたら、和歌山は投資外地域なのでしょう(笑)。
そういう大手のガソリンスタンドがないから安売りの店が戦える。だけど、和歌山で頑張ってる安売りのお店は、都会に行ったら太刀打ちできないと思いますよ。
都会はマークをあげてないガソリンスタンドなんて、めったに見ません。探してもほとんどないですよ。でも和歌山県はそっちの方が多いんですよ。
そういうことで、都会は淘汰が終わっていて、ここ数年ものすごい利益を出しています。
藪本:
寡占状態ですね。
舩渡:
ただ、これからのガソリンスタンドがどうなるかはわからないです。
電気の自動車が増えていますし、その先には水素自動車も開発されています。将来は水素自動車が主流になっていくと思います。
水素ステーションを一軒作るのに、約5億円かかると言われています。国からの補助もありますが、補助をもらえないと作れないですよ。だからそういう意味では安売りしてる場合じゃないんです。投資に備えないといけないんです。
藪本:
全くその通りですね。
舩渡:
和歌山の安売りの店は無人で、外から見たらだれも人がいません。ただガソリンを入れる安いだけのお店です。
都会に行くとご存知の通り、夜でも人がいます。作りも大きくて、セルフのガソリンスタンドでも車検の受付をしたり、トータルなサービスを提供してくれるのが主流です。
藪本:
紀洋石油さんが、そんな状況の中でも生き残ってるのは、やっぱり地元の方々のおかげなんでしょうかか。
舩渡:
そうですね。でもやっぱりガソリンスタンドも減りましたよ。田辺・白浜地域でいうと、父ちゃん母ちゃんが「家族経営」でやってるお店は後継ぎがいないなどの理由で、バタバタと減りました。
国の政策(*)もありました。30年以上たった地下タンクは、掘り返して改修工事をするように言われ、かなりの設備投資の必要がありました。それで山間部の小さいガソリンスタンドなどは、廃業したところが多かったんです。
藪本:
そんな投資はできなかったということですね。
*消防法の改正によ り地下埋蔵タンクの漏えい防止対策が義務付けられた。(中略)腐食等劣化によるものが毎年最も多くなっており、平成20年では全体の約40%を占めており、その内約50%は地下貯蔵タンク 等からのものとなっています。つまり、平成20年においては、危険物施設からの流出事故の内、約20%が地下貯蔵タンク等の腐食等劣化が原因で発生していることになります。また、地下貯蔵タンク等からの危険物の流出は、その構造上発見が遅れる可能性が高いこと から被害の拡大が懸念されていました。
参照:消防法改正とガソリンスタンドの減少について 株式会社関西総合鑑定所
舩渡:
そういった理由で減ったのもあります。それに加えて、和歌山市に本社がある田辺・白浜のお店は、この地域に安売りのお店がきたらとっとと引き上げましたね。
藪本:
紀洋石油さんは地元最大手として、頑張っておられるのですね。
舩渡:
いやいや(笑)。厳しいけどね。値段だけで対抗しても勝てないし。この地域はみんなノーサービスでガソリンを入れるだけです。店を開けておけばお客さんは来てくれます。
うちはパンク修理したり、コーティングしたりして差別化を図っています。まるっきり無人にすると、値段が安いだけの店になってしまうのでね。
藪本:
サービス面で言えば、逆に競争相手がいないんじゃないですか。
舩渡:
そうなんですが、コロナ禍でみんな景気が悪いんでしょうね。車に燃料以外のお金を出すのを、今はちょっと控えている感じがします。うちの店は車のコーティングが主力商品なので、やっぱり厳しいですよ。ガソリンの消費は必ず減っていくので、コーティングに力を入れていかないと、と思っています。
そうは言っても、田舎はまだましですよ。車がないと生活できないですから。自粛で県外に出ていくのは減っても、最低限の生活でガソリンは必要です。そこがガソリンスタンドの強みでしょうか。生活必需品を扱っていますからね。家族の数だけ車がいります。
でも都会はもう車いらないでしょう?維持費がかかるなら、レンタカー借りて、シェアしたらいいっていう人が増えています。
藪本:
でも、田舎も人口自体がどんどん減ってますよね。
舩渡:
そうです。だから、そこと関係のない商売をしないといけないと考えています。
3.山林の有効活用とは?
藪本:
人口が減ってもやっていける商売とは、どういうものを考えているのですか。
舩渡:
それはこちらが聞きたいですね~(笑)。何かいい考えはないでしょうか。
藪本:
我々の今回の紀南アートウィークのコンセプトは輸出です。内需がしぼんでいくのは諦めるしかないと考えています。ではどうするかと言いますと、輸出が必要だと確信しています。今は外需が稼げる人が圧勝しています。それを地元の紀南でできるきっかけになればいいと思って、今回の企画を進めています。農家さんやいろんなメーカーさんの話を聞いて、どんなこと考えてるのかを知りたいです。
舩渡:
山林の有効活用とかはどうでしょうか。
藪本:
それは可能性があるんじゃないですか。ちょうどこのあいだ、炭焼きのお話を聞かせてもらって、非常に面白かったです。あまりビジネスに直結しそうにないですけど、10か年計画でじっくり腰を据えてやるのであれば、面白いかと思ってます。林業自体はちょっと時間かかりすぎますよね。
舩渡:
山をね、何かに利用したいな、と思っているんです。
藪本:
日置に山を持っているんですか。
舩渡:
ほったらかしている山があります。
僕の知り合いが、よその山主さんの山にお金を払って入らせてもらって、山菜を採って、京都や大阪のいろんな料亭に売っているんです。わらびとかぜんまいとか柏餅の葉っぱとか、山に自然に生えているのを採るんです。山主さんもいくらかお金が入るし、勝手に生えているからどうぞご勝手に、といった感じのようです。そんな山の使い方もあるんだなと思いました。
藪本:
いいものが紀南にはありますよ。日置川とかも面白いですよね。そういう魅力を再整理すべきだと思います。山に回帰する可能性はないんでしょうか。
舩渡:
うちの父親が、山林業というのは気の長い話で、木を植えてから何十年もかかって原価もよくわからない、と言ってました。その点ガソリンスタンドはわかりやすいですよ(笑)。材木業は大変です。
藪本:
今は材木も安いですからね。この間、山長さん(*)と対談しましたよ。工場も見せてもらいましたが、やっぱり生き残る企業は強いですね。林業やって、製造業やって。
*山長・・・紀伊半島南部に約5000ヘクタールの自社林を所有する山長商店。植林から始まり、育林、伐採、製材、乾燥、仕上げ、品質検査、選別、プレカット加工までを全てグループ一貫体制により、樹齢50~100年の紀州産杉・桧を製品化。昭和27年設立の木材製材、プレカット加工販売会社。参考:山長商店ホームページ
舩渡:
山長さんはうちの株主です(笑)。他の材木屋さんがどんどん閉めていく中で、バリバリやっていてすごいですね。みんなやめていきましたが、昔の田辺は材木屋さんが非常に多くてね。もう残っているのは山長さんくらいじゃないですか。
昔は日置のような小さい町に、銀行が三店舗もあったんですよ。子どもの頃は製材の山でよく遊びましたね。上流から筏を組んで運ばれてきた材木が、日置川にいっぱい並んでいましたよ。
藪本:
港の文化ですね。その日置の価値を再整理できないでしょうか。
舩渡:
どうしたらいいでしょうか。
下田:
日置で持たれている山は奥の方ですか。
舩渡:
奥の方ですね。
下田:
向平キャンプ場(*)とかも頑張ってますよね。
ワーケーション(*)を希望する都会の人たち向けに、仕事と滞在を兼ねていろんな体験を提供している事業を、白浜町はもとより和歌山県が力を入れてやってますよ。
*向平キャンプ場・・・大自然に恵まれた、人気の町営キャンプ場。日置川の中流域にあり、川に向かって扇状に広がり、キャンプ場からの眺めは開放感たっぷり。川遊びに最適なキャンプ場で近くには温泉施設(えびね温泉)もあり、自然を満喫する事ができます。
*ワーケーション・・・ワーク(仕事)と バケーション(休暇)を掛け合わせた造語で、テレワークを活用することで、リゾート地や温泉地等、普段の職場とは異なる場所で働きながら地域の魅力に触れることのできる取組。
下田:
また、さきほどの山菜の話なんかは、都会の人間からしたら、無茶苦茶魅力的ですよ。
自分で採りに行ってもらうのをツアーにするとかどうでしょうか。東北の方では、玄人の方と一緒に、きのこを採るツアーなんかをやってますよ。
キャンプ場とセットにして、山の中で採ってきたものを天ぷらにしてその場で食べるとか、山の醍醐味ですよね。山菜は山に登る人とかはめっちゃ好きですよ。
舩渡:
私が子どものころは、山番さん(*)という人がいました。母親と山番さんと一緒に山に入って、わらびやぜんまいをよく採りに行きましたね。もう今は雇ってないですけど、当時はうちの山を管理してもらっていました。
山番・・・山林を火災や盗難から守る番人。やまもり。参照:デジタル大辞泉
藪本:
山の広さはどれくらいなんですか。
舩渡:
それがわからないんです(笑)。だけど、20か所くらいあります。昔に山番さんに教えてもらって、山を回ったんですけど、もう何十年も行ってないからわからないなあ。森林組合に行けばわかるかも。
藪本:
山に回帰するのもいいかもしれないですよ。こういうタイミングでこそどうですか。
舩渡:
父親が養子に来る前は、もっとたくさん山林があったそうです。子どもの頃祖母に「お父さんが養子に来てからうちの山は半分になった」と聞きました。父が山を売りながら、ぶらぶら遊んできたせいだそうです。
その当時は良い値で売れたんですよ。100年、200年のヒノキが植わっている山が高く売れたそうです。今は杉ばかりです。杉なんて二束三文ですよ。
4.紀南に必要なものとは?
藪本:
紀南には何が必要なのでしょうか。
舩渡:
人が集まる場所でしょうか。さっき下田さんが言われたような、キャンプ場の体験イベントなど、民間も協力していろいろやってるみたいですね。
下田:
白浜町の安居(あご)に、南紀州交流公社さん(*)という会社があります。そこは体験学習などを受け入れてますよ。ワーケーションに力をいれていて、都会の会社の人たちが2泊3日で研修に来たりしています。そういうところと山菜ツアーを組んでみるのもいいのではないでしょうか。
*南紀州交流公社・・・紀伊半島の南部、和歌山県白浜町日置川地域を中心に南紀州の自然環境と農林漁業の生業を活かした「ほんもの体験」の受入れを行っています。
藪本:
お持ちの山でそういう企画をやられるのはどうですか。
舩渡:
うちの山は相当山奥なんですけど、大丈夫かな。
下田:
熊野古道が通ってる山ですよね。一度見て回りませんか。面白いと思いますよ。
舩渡:
山もたまに把握しておかないといけないので、見に行かないとね。境界線ってわかりにくいし。植わってる木が違えばわかるけど、一緒だからわからないよ(笑)。だいたい尾根の場所で境界があるんですけど、その尾根も一直線じゃないからね。
関西電力とかNTTの電柱とかが山に建ってるから、年に一回お金くれるんです(笑)。電線に木がかぶさってくるので、切ってもいいですかって聞かれるけど、見に行きもしないでどうぞ勝手に切ってください、って言ってます(笑)。
藪本:
舩渡さん、森の民に戻ってみませんか。
舩渡:
そうだね~。とりあえず一度、息子と一緒に見て回ってもいいかな。生きてるうちに(笑)。
今も地籍調査(*)をやってるんですけど、森林組合とか役場とかで印鑑をつくだけで、現地まで見に行かないですよ(笑)。
*地籍調査・・・地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査。参照:国土交通省
藪本:
山行きましょうよ。見に行きたいです。
舩渡さん:
もうずっと山に行ってないから、森林組合に行って台帳を見て調べてみないと、山には入れないなあ。
下田:
日置ってきっと掘り返してみたら、なんだかいろいろ出てきそうな気がしますよ。平家落ち武者の話なんかはないのですか。
舩渡:
うちの父は養子なんですけど、実は平瀬という平家の落ち武者の集落出身です。平瀬にある先祖代々のお墓なんかは、ものすごい古いです。歴史を感じますね。
藪本:
そこにルーツがあるわけですね。それは面白いですね。今の行政の地図を無視して見たら、違う魅力が発見できる気がしますよ。そういうものから新しいコンテンツが見つけられれば、長く売っていけるものができるのでは?自分達の本当の価値のある強みを再整理したいですね。この企画も、そのヒントを探す旅に出てる感じです(笑)。
舩渡:
私が死んだら必ず山の分の相続税がかかるからね。やっぱり一度は山に行かなければいけませんね。父が亡くなる前に、税理士さんに資産を調べてもらったら、山の価格がすごく高くて驚きました。株が高いのは覚悟してたんですけどね。また、いろいろ教えてください。
藪本:
ガソリンスタンドは、公共インフラだから、なくなりはしないでしょうけど、寿命がある業種のように思えてならないです。
舩渡:
電気や水素に代わっていって、どこまで持ちこたえられるでしょうか。
藪本:
紀洋石油さんも、南方熊楠が言っているような、「進化するには一度退化しないといけない」という視点が必要なのかもしれないですね。
ありがとうございます。大変勉強になりました。
<編集>
紀南編集部 by TETAU
https://good.tetau.jp/