「菌と共生 / 菌根ネットワーク」会場紹介

南方熊楠顕彰館からもほど近い場所に位置する、アーティストの杵村(廣本)直子と杵村史郎が運営する古民家アトリエ「もじけハウス」。そこに隣接するSOUZOUでは、和歌山県・中辺路在住のサウンドアートユニットAWAYAやアウラ現代藝術振興財団のコレクションからアジアのアーティストの作品を中心に展示します。屋内、植生豊かな庭と蔵にて、熊楠が生涯を通し見つめ続けた菌や植物などをテーマに、アジアのアーティストたちの見つめる「植物」との関わりとその多様な視点を紹介します。 私たちが肉眼で見ることのできない菌の世界は、地中の植物の根と同じように複雑に拡がり、豊かな森をつくるためには菌の存在が欠かせないと言います。そのつながりと広がりは、ミクロ(小さな菌の世界)とマクロ(私たちの住む広い世界)の視点に置き換えることで、世界の複雑さに触れることができるのではないでしょうか。

出展作家:AWAYA(日本)、トゥアン・マミ(ベトナム)、クィン・ドン(ベトナム)、狩野哲郎(日本)、ピラヤット・ピヤポンウィワット(タイ)、ビー・タケム・パッタノパス(タイ)、廣瀬智央(日本/イタリア)

【展示会場】

SOUZOU
〒646-0035 和歌山県田辺市中屋敷町 70-1
展示時間:10:00- 17:00

【出展作家のご紹介】

AWAYA
福島正知と奥野裕美子によるサウンドアートユニット。 2007年より熊野の地中辺路へ移住し、その自然に寄り添う暮らしの中で日々耳にする音をインスピレーションの源に、日常に潜む宇宙の神秘や生命の不思議を独特の音世界で表現した”音のアート作品”を制作。ジャンルを超越した活動を展開している。 特に2010年より毎回参加している国際芸術祭BIWAKOビエンナーレでは、サウンドインスタレーション展示とアーティスティックなコンサートの両方で独自の世界観を発信し続けている。

2021年 紀南アートウィーク 前田耕平「Breathing」楽曲提供
2022年 3月テイチクエンタテインメントよりACOON HIBINOとの共作アルバム「WATER FOREST KUMANO」リリース
2022年 BIWAKOビエンナーレ2022 起源~ORIGIN~参加予定

トゥアン・マミ/ Tuan Mami
トゥアン・マミは、サイトスペシフィック・インスタレーション、ビデオ、パフォーマンス、コンセプチュアル・アートの分野で活動する学際的・実験的なアーティストであり、常に新しいメディア、手段、方法を探求し、内省的な問いかけや社会調査によって進化を続けている。 近年は、移動を繰り返しながら、私たちがどのように「人間」であるかという概念を探求し、観察している。2014年から、マミはベトナムと世界中のベトナム人ディアスポラについて研究している。マミは、これらのコミュニティで何が起こったのか、何が残ったのか、文化的、精神的、政治的な文脈から、新しい文脈に適応し生き残ろうとする様子を観察しようとしている。 彼の焦点は、人生、人と人、人と環境との社会的相互作用についての疑問であり、特定の現実から人や物が社会的プロセスに入り込み、共に関与するような状況を再構築しようとする。Photo © Felix Schmitt

出展作品:ベトナム移民の庭(No. 2)

クイン・ドン / Quynh Dong
1982年、ベトナムのハイフォンで生まれる。スイスのビエンヌにあるデザインスクールでグラフィックデザインを学び、ベルン芸術大学で美術学士号を取得、チューリッヒ芸術大学で美術修士号を取得。スイス・ベルンのThe Sommerakademie im Zentrum Paul Klee、アメリカ・ニューヨークのThe International Studio & Curatorial Program(ISCP)、オランダ・アムステルダムのRijksakademie van Beeldende Kunsten、韓国・ソウルのNational Museum of Modern and Contemporary ArtによるMMCA Changdong、ベトナム・ハノイのHeritage SpaceでMonth of Arts Practice(MAP)などでレジデントプログラムに参加し、現在は、スイス・ベルンのZentrum Paul Kleeで、レジデンスプログラム中の「Month of Arts Practice」、および「The International Studio & Curatorial Program(MAP)」にて、制作した作品を発表しています。2016年、ベトナム・ハノイのNha San Collectiveで初めて個展「Quynh by Night」を開催した。

出展作品:Late Autumn(2015)

狩野哲郎
1980年宮城県生まれ。2007年東京造形大学大学院造形研究科美術研究領域修士課程修了。2011年狩猟免許(わな・網猟)取得。 狩野は、既製品や種子・果実といった植物を組み合わせることで、空間へのドローイングとしての新しい「風景」を造り出してきました。2009年から取り組んでいるインスタレーション「自然の設計/Naturplan」では、時に作品の中に野鳥が入りこみ、人間にはコントロール出来ない「他者」が内包されます。こうした狩野の作品世界では、モノや空間があらかじめ持っていた意味や機能から逸脱して扱われることで、人間にとっての価値観や認識方法が宙づりにされ、普段、私達が意識することのない新たな知覚や複数の世界認識の存在を想像させます。また、既成品のアッサンブラージュ、鋳込み成形による磁器、キャストガラスなどを組み合わせた立体作品も制作しています。それらの作品は個々の「造形物としてのあり方」を意識して制作されながら、同時に「他者」のための「風景」としてのインスタレーションの部分となり、新たな世界認識を示唆することでモノや場所の意味や価値を問い続けます。

出展作品:垂直らしさ(彫刻と花瓶)

ピラヤット ピヤポンウィワット / Piyarat Piyapongwiwat
Piyarat Piyapongwiwat(1977年、タイ・プラエ生まれ)は、さまざまなメディアを使って作品を制作しています。彼女の作品は、グローバル化した経済や社会問題の状況や意味を明らかにし、疑問を投げかける方法として、ドキュメンテーションを中心にしています。ビデオ、写真、インスタレーションなど、様々なメディアを用いて、単に記録を残すだけでなく、個人の声を通して相互に結びついた世界をマッピングする試みを行っています。ピヤラットは、2017年に国際交流基金アジアセンター・フェローシップ・プログラムを経て、フランスのEcole Supérieure des Beaux-Arts de Montpellier Agglomérationで美術学士号を取得しています。国内外で作品を発表しており、主なものに第6回アジア・アート・ビエンナーレ(台湾)、「Negotiating the Future(未来への交渉)」があります。Negotiating the Future」(台湾)に加えて、「12th Gwangju Biennale: Imagined Borders」(韓国)、「2016 Seismograph: Sensing the City – Art in the Urban Age」(アートステージ・シンガポール)など、国内外で作品を発表しています。彼女の作品は、シンガポール美術館、マイアム現代美術館、バンコク芸術文化センターなどの美術館に所蔵されています。

出展作品:絶滅種

ビー タケム パッタノパス / Be Takerng Pattanopas
Be Takerng Pattanopasの活動は、内なる空間と外なる空間という二つの観念から生じている。彼は長年にわたり、人体の内部の世界が無限の宇宙と関連するかどうかを継続して調査している。現在のアーティストの作品は、彫刻、インスタレーション、ペインティング等を融合させたもので、空洞、身体の微細な視覚化、トンネルやモノリスなどをテーマにしている。後者のモチーフは、アーサー・C・クラークの小説やスタンリー・キューブリックの有名な映画に登場する神秘的で不可解な物体からインスピレーションを得ている。全ての要素はアーティストによって正確に調整されており、鑑賞者にとっては、意味や概念が常に流動的であり、不思議な体験をもたらすものとなっている。 アーティストの現代アートの活動は、1996年にイギリスでファインアートの博士号を取得したのを皮切りに、20年以上に渡って行われている。チュラロンコーン大学、ウェールズ大学カーディフ校等でファインアートの博士号を取得している。 最近の個展には、「Space of 25 Light Years」(JWD Art Space、バンコク)(2021年)、「The Nerve That Eats Itself」(2018年)(Gallery VER、バンコク)、「What I Don’t Know That I Know」(2013年)(H Gallery、バンコク)、「Compulsive Orders」(2011年)(Tally Beck Contemporary、ニューヨーク)、「Permanent Flux」(2009年)(GMT+7、ブリュッセル)、「Interior Horizons」(2008年)(Catherine Schubert Fine Art、バンコク)などがある。 最近のグループ展には、「SPECTROSYNTHESIS II¬- Exposure of Tolerance: LGBTQ in Southeast Asia at Bangkok Art and Culture Center – BACC (2019-2020), Oscillations (2016), curated by Lyno Vuth at the Art Center of Chulalongkorn University, Bangkok, Monologue Dialogue MD4 (2017) at the Koppel Project (ロンドン)などがある。Monologue Dialogue MD4 (2014) at Bangkok Art and Culture Center (BACC); Gentle Matter (2013) at Richard Koh Fine Arts, Singapore; Unspeaking Engagements (2010) at Lanchaster Gallery, Coventry School of Art and Design, Coventry, England; From Surface to Origin: The Place & the Plate in La Fête 2007 (the French Cultural Festival in Bangkok) at the Jim Thompson Art Center, Bangkok, and Prana: The Place & Plate in La Fête 2007」(Jim Thompson Art Center, Bangkok)、「Prana: Art, Light, Space」(Chulalongkorn University Art Center, Bangkok)などがある。

出展作品:うちとそと #3

廣瀬智央
廣瀬智央(1963-)はミラノを拠点とし、90年代の活動初期より精力的に制作活動。日本、アジア、イタリアなど世界各地の美術館、ギャラリーでの展覧会に数多く参加してきました。また、最近では、母子生活支援施設の母子と空の写真を交換し合う「空のプロジェクト」(前橋、2016年から2035年まで継続)など、社会との接点を意識し既存のアート活動を超えた長期的なプロジェクトも手がけています。 廣瀬作品のコンセプトの幅は、マクロな視点で地球全体、国や季節を越えて果ては宇宙へも広がります。それと同時に、廣瀬は日々のイタリアの食生活から豊かさや多様性を発見し、異文化間の旅での出会いや対話から共通するささやかな幸せの感覚、生きることのへの意味を見出します。そんな日常性を芸術的レベルに移転させ、鑑賞者の五感に強く働きかけるのが廣瀬作品の大きな特徴といえます。 レモンやスパイスを床一面に敷き詰め、視覚や嗅覚、味覚を刺激するインスタレーション、空の写真、細胞が無限に増えていくような「ブルードローイング」、「ビーンズ コスモス」シリーズでは、豆、パスタなどの食材と、丸めた地図やビー玉、金などをアクリル樹脂のなかに浮かべています。 廣瀬は、人工と自然、昼と夜のような、事物の間の領域や小さなもの、周縁にこそ見過ごされがちな豊かな世界があることを見出し、その表面に現われない、奥にある矛盾や不確定なものを捉えてきました。鑑賞者は、展示空間を回遊しながら、様々な視点や角度から廣瀬が構成した作品世界を体感することができます。視点を変えることで見え方が大きく変わるこの異質なものの共存は、私たちの社会そのもののようです。Photo © EMY AMARO

出展作品:フルーツの塔、ビーンズコスモス(蜜蝋)、ビーンズコスモス