コラム 芸術祭 2021

  • 【アーティストインタビューvol.4】志村 信裕

    【アーティストインタビューvol.4】志村 信裕

    紀南アートウィークの出展アーティストをご紹介するシリーズ「アーティストインタビュー」をお届けします。<今回のゲスト>映像アーティスト志村 信裕(しむらのぶひろ)さん1982年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学大学院映像コース修了。テーマは、「光をあてる」。触れられず、形として残らない光の特性を、最大限に生かした作品を数多く作り出している。2007年NHKデジスタ・アウォード2007インタラクティブ/インスタレーション部門グランプリ、2011年地域が選ぶ黄金町バザール賞を受賞。

  • 【キュレーションストーリー Vol.3】精霊が宿る場所・高山寺- アニミズムと南方熊楠の思想 –

    【キュレーションストーリー Vol.3】精霊が宿る場所・高山寺- アニミズムと南方熊楠の思想 –

    <今回のゲスト>高山寺住職曽我部 大剛(そがべ だいごう)さん田辺市稲成にある高山寺の20代目住職。高山寺敷地内にある豊かな森林に囲まれて育ったことから、この自然環境を未来に残していこうと奮闘している。また、今年3月までは、南方熊楠の研究機関「南方熊楠顕彰館」の館長も兼務。高山寺は熊楠の魂が眠る場所でもあることから、曽我部さんご本人も熊楠への造詣が深い。高山寺には「霊的存在が宿っている」と話し、実際に足を運んで特有の雰囲気を感じてもらえればと考えている。高山寺(KINAN A

  • 【アーティスト紹介 Vol.15】 ウーチャンロン

    【アーティスト紹介 Vol.15】 ウーチャンロン

    ウーチャンロン×川久ミュージアムのケミストリー<想像の翼を広げ、見渡す宇宙>-狂気とも呼べるこだわりが生み出した唯一無二の場所で出会うのは、想像の翼を広げ見渡す果てなき宇宙-台南を拠点に活動するウーチャン・ロンは、自身の回りで起こる日々の出来事から、世界経済やエネルギー供給、エコロジー問題を想起させる作品を制作しています。本作は家業である養豚をモチーフにしながら、生命の誕生から、食肉化されるまでの記録を万華鏡のようにつなぎ合わせることで、家畜の在り方に潜む「国家の起源」や「統

  • 【アーティスト紹介 Vol.14】 磯村暖

    【アーティスト紹介 Vol.14】 磯村暖

    磯村暖×川久ミュージアムのケミストリー<想像の翼を広げ、見渡す宇宙>-狂気とも呼べるこだわりが生み出した唯一無二の場所で出会うのは、想像の翼を広げ見渡す果てなき宇宙-磯村暖は、ヴァナキュラー(ある土地に根差した固有)な事象に対し、多元的視点から人間賛歌ともいうべき作品を制作しています。日本語の「ん」は文字として一つでも、微妙に異なった発音が複数存在するように、本作は、言語の不安定で限定的な役割から想を得ています。情報伝達の中心である口について考えながらも、鼻を使い様々な音を発

  • 【アーティスト紹介 Vol.13】 前田耕平

    【アーティスト紹介 Vol.13】 前田耕平

    前田耕平×高山寺のケミストリー<積層する祈りが誘う、深遠な異界>-縄文から、聖徳太子、弘法大師そして山の精霊まで、あらゆる祈りが積層する古刹が誘う深遠な異界への扉-和歌山県・田辺市出身の前田耕平は、人や自然、事象との関係性について、自身の体験を手がかりに作品化しています。展示場所となる古刹で発見された「高山寺式土器」に着想を得て、本作は制作されました。それは、精霊から神々、そして仏のすまう山が有する祈りや時間、そして智慧の積層を可視化しているといえるでしょう。<前田耕平につい

  • 【アーティスト紹介 Vol.12】 ミン・ウォン

    【アーティスト紹介 Vol.12】 ミン・ウォン

    ミン・ウォン×真珠ビルのケミストリー<昔日の面影を宿すビルを彩る、万華鏡>-かつては真珠で栄えた白浜駅前の面影を、今に伝えるビル。遊技場、飲食店、土産物屋から成る元祖コンプレックスを彩る映像の万華鏡-古今東西の名作映画を再演することで、言語やナショナリティの問題を鋭く追究するミン・ウォン。若き日の神代辰巳らが監督を務めた1970年代成人向け映画をモチーフとする本作は、インターネット上に拡散される偽娘(ウェイニアン)や男の娘(おとこのこ)と、テクノロジーの発達により駆逐された大

  • 【アーティスト紹介 Vol.11 】 小林健太

    【アーティスト紹介 Vol.11 】 小林健太

    小林健太×真珠ビルのケミストリー<昔日の面影を宿すビルを彩る、万華鏡>-かつては真珠で栄えた白浜駅前の面影を、今に伝えるビル。遊技場、飲食店、土産物屋から成る元祖コンプレックスを彩る映像の万華鏡-敢えて写真家と名乗る小林健太は、常に「真(まこと)を写すとは何か?」という問いにより写真を捉え、様々な試みの中からその輪郭を形づくり続けています。本作は、画像処理ソフトの指先ツールを用い、絵画におけるブラッシュ・ストロークのように操ることで制作されています。それは、一見クールなデジタ

  • 【アーティスト紹介 Vol.10】河野愛

    【アーティスト紹介 Vol.10】河野愛

    <変わりゆく街で、変わらぬ人々の記憶>-穏やかな入り江、海の道標としての灯台、墓石、そして時の移ろい。人々の記憶が波のように入り混じりながら、白浜の新しい物語を紡いでいく-河野愛は、布、骨董、写真等の多様なメディアを利用し、場所や人の記憶や時間、価値の変化に関する作品を発表しています。河野の祖父は、白浜温泉老舗「ホテル古賀の井」の創業者であり、彼女は幼少期より古賀浦の入り江で夏を過ごしていました。白浜エリア数カ所に設置された本作は、当時ホテルの屋上で輝いていたネオン看板を活か

  • 【アーティスト紹介 Vol.8】 アフザル・シャ―フュー・ハサン

    【アーティスト紹介 Vol.8】 アフザル・シャ―フュー・ハサン

    アフザル・シャ―フュー・ハサン×田辺駅前商店街のケミストリー<熊野へ向かう玄関口で思う、豊潤な海の物語>-熊野古道への玄関口で思いを馳せるのは、扇ヶ浜や江川港の先に続く黒潮が運ぶ豊潤な海の物語-「インド洋の真珠」と謳われ、世界中から観光客を集めるモルディブですが、一方で与・野党間の政争が絶えず、近年では中・印代理戦争の様相を呈しています。アフは砂絵によるアニメーションによって、観光と並ぶ重要産業であるカツオ、マグロ漁の過酷な労働やクーデター、地球温暖化による海面上昇といった楽

  • 【アーティスト紹介 Vol.9 】岸裕真

    【アーティスト紹介 Vol.9 】岸裕真

    岸裕真×アドベンチャーワールドのケミストリー<人新世を思う、脱人間中心主義>-地球温暖化や環境汚染といった人新世を今一度考え、未来を思うには海棲哺乳類や人工知能の力を借りた脱人間中心主義が必要だ-人工知能(以下AI)との共作である岸裕真の作品には、単一的な解や表現への疑義あるいは否定が通底しています。加えて、シンギュラリティ(コンピュータが人間を超える「技術的特異点」)以降の世界が、人類と機械による平和的な共存共栄の到来であることを予感させます。AIの力を借りることで見慣れた

  • 【アーティスト紹介 Vol.6】  アデ・ダルマワン

    【アーティスト紹介 Vol.6】 アデ・ダルマワン

    アデ・ダルマワン×川久ミュージアムのケミストリー<想像の翼を広げ、見渡す宇宙>-狂気とも呼べるこだわりが生み出した唯一無二の場所で出会うのは、想像の翼を広げ見渡す果てなき宇宙-世界最高峰の国際展ドクメンタ15(2022年)で芸術監督を務める、アート・コレクティブであるルアンルパの中心人物アデ・ダルマワン。本作は(現在の)哲学だけでなく、自然学や数学をも含む学究的営為の総体たる古代ギリシャ哲学と、ドイツ観念論からマルクス主義や実存主義へと連なる近代ドイツ哲学の関係性を、サッカー

  • 【アーティスト紹介 Vol.7 】長谷川愛

    【アーティスト紹介 Vol.7 】長谷川愛

    長谷川愛×アドベンチャーワールドのケミストリ<人新世を思う、脱人間中心主義>-地球温暖化や環境汚染といった人新世を今一度考え、未来を思うには海棲哺乳類や人工知能の力を借りた脱人間中心主義が必要だ-長谷川愛の作品は、バイオ・アートやスペキュラティブ・デザイン(課題解決型ではなく、その根幹に潜む問題について提起する考え方)などの手法により制作されています。本作では、爆発的な人口増加や食糧問題、更には貴重な海洋生物保護と生息環境保全に向けた解決視点を示唆しています。<長谷川愛につい