コラム

  • 未完のみかん―「みかんかく」を想像する ―

    未完のみかん―「みかんかく」を想像する ―

    2023年10月6日紀南アートウィーク 藪本 雄登1「みかんかく」とは? 「みかんかく」は、みかん(蜜柑、未完….)+かんかく(感覚、間隔….)をかけ合わせた造語です。今回は作品を鑑賞する「展覧会」としてではなく、「みかん」を媒介にしながら、嗅覚や味覚、触覚、や時間感覚等に訴えるワークショップなどを中心に「みかんかく」展を開催します。 このきっかけを与えてくれたのは、白浜のBar 九十九のマスターです。昨年、食のワークショップにおいて「五感を感じる・・・」という表記

  • アナルコ・アニミズム -まつろわぬ生命-

    アナルコ・アニミズム -まつろわぬ生命-

    この度、紀南アートウィーク実行委員会は、和歌山県南紀白浜駅前の真珠ビル/ノンクロンにおいて、「アナルコ・アニミズム」展を開催します。アジアのアーティストやキュレーターらの専門家ネットワーク、プロダクション・ゾミアのキュレーションによる本展は、「アウラ現代藝術振興財団」のコレクションから、自然と人間の関係性をめぐって作品制作を続ける東南アジア出身の5組のアーティストを紹介します。この展覧会は、宮城県石巻市で開催されたリボーンアート・フェスティバル2021-2022のために企画さ

  • <期間限定公開> 特別トークセッション「アピチャッポンと熊野 -アニミズムの世界へ-」

    <期間限定公開> 特別トークセッション「アピチャッポンと熊野 -アニミズムの世界へ-」

    タイトル:「アピチャッポンと熊野 -アニミズムの世界へ-」日時: 2022年8月5日(金)19:30〜20:30会場:オンライン参加費:無料ゲストスピーカー:石倉敏明(神話学者・芸術人類学者秋田公立美術大学准教授) 林澄蓮(アーティスト「田並劇場」企画・運営)聞き手:林憲昭(アーティスト「田並劇場」企画・運営) 藪本 雄登(「紀南アートウィーク」実行委員)【ゲストスピーカー石倉敏明さ

  • <期間限定公開> 特別トークセッション「アピチャッポン その魅力」

    <期間限定公開> 特別トークセッション「アピチャッポン その魅力」

    アナルコ・アニミズム展の関連記事として2022年6月5日(日)に開催した有料特別トークセッション『アピチャッポンその魅力』のテキスト& 動画アーカイブを会期中のみ期間限定で公開いたします。(2023年6月10日〜8月31日)タイトル:「アピチャッポンその魅力」日時: 2022年6月5日(日)『ブンミおじさんの森』上映会 13:00〜 講演会・座談会① 16:00~会場:田並劇場(和歌山県串本町)ゲストスピーカー:中村紀彦(映像・映画理論研究者)武井みゆき(配給会社ムヴィオラ代

  • 共同体、共異体、みかんコレクティヴ(後編)-光州ビエンナーレを巡って-

    共同体、共異体、みかんコレクティヴ(後編)-光州ビエンナーレを巡って-

    紀南アートウィーク 藪本 雄登5移ろいゆく「主権」本稿で取り上げる光州ビエンナーのテーマは「移りゆく主権(Transient Sovereignty)」である。前編、中編で述べてきた通り、20世紀の「戦争と革命」、大戦後における「他者」や「共同体」の思想を踏まえて、「主体」や「主権」を解体しながら、しかし解体し過ぎずに、この<あいだ>を包摂する共同体を顕現させてゆくこと。これは、まさに「みかんコレクティヴ」が探し求めている「果実」だ。「移りゆく主権」のステートメントによれば、

  • 共同体、共異体、みかんコレクティヴ(中編)-光州ビエンナーレを巡って- 

    共同体、共異体、みかんコレクティヴ(中編)-光州ビエンナーレを巡って- 

    紀南アートウィーク 藪本 雄登4先住民族の思想と共異体前編の「他者とは誰か」を踏まえて、メイン会場の3つ目のテーマである「祖先の声(Ancestral Voices)」について述べたい。そのステートメントを要約すると、光州の歴史的アイデンティティを継承し、世界各地の先住民の声に耳を傾け、地域の伝統を再解釈し、ローカリティに根ざした共同体的な実践を紹介する。そして、西洋的な近代性に対峙し、オルタナティブな「知」の想像力を喚起する、ということだ。(1)アイヌ/祖先=わたし?このテ

  • 共同体、共異体、みかんコレクティヴ(前編)-光州ビエンナーレを巡って-

    共同体、共異体、みかんコレクティヴ(前編)-光州ビエンナーレを巡って-

    紀南アートウィーク 藪本 雄登1はじめに(1)弾力性/応戦力ある果実真の芸術は、躍動する現実の具体的な反映態として結実し、矛盾に満ちた現実の挑戦を受けてそれと対決する弾力性のある応戦力によってのみ、収穫される果実である。現実同人第一宣言金芝河これは、韓国の「抵抗の詩人」として知られる金芝河(キム・ジハ、1941-2022)の言葉である。韓国の近現代美術は、政治的な抑圧を抜きには語れない[古川2018:2]。軍事勢力による市民虐殺の惨劇の場となった「光州民衆抗争(以下、「光州事

  • 唐澤太輔氏による特別トーク‐『太陽の塔』上映会を終えて‐テキストアーカイブ

    唐澤太輔氏による特別トーク‐『太陽の塔』上映会を終えて‐テキストアーカイブ

    ふたかわ超学校×紀南アートウィークによる共同開催イベント2022年10月14日(金) 、みかんマンダラ展会期中に開催した特別トークショー「太陽の塔 上映会を終えて‐」のテキストアーカイブです。日時2022年10月14日(金)会場tanabe en+(タナベエンプラス)〒646-0031 和歌山県田辺市湊41-1定員25名イベント詳細:https://kinan-art.jp/info/9660/ゲストスピーカー唐澤太輔秋田公立美術大学美術学部アーツ&ルーツ専攻ならびに

  • KINAN ART WEEK 2022「みかんマンダラ」 を振り返る

    KINAN ART WEEK 2022「みかんマンダラ」 を振り返る

    植物や微生物たちと人類のむすびつきを探る展覧会からアートプロジェクトへ私たちは和歌山県紀南地方の地域資源である柑橘をテーマとしたアートプロジェクト「みかんコレクティヴ」を実施しています。これは、蜜柑について考え、協働する機会を、農家、アーティスト、デザイナー、キュレーター、研究者たちとつくる活動です。その活動が母体となり、2022年は10月6日(木)〜10月16日(日)の11日間にわたり、和歌山県田辺市内の複数箇所で「みかんマンダラ」展の作品展示及び関連イベントが開催されまし

  • 「コモンズ農園」の歴史的文脈を語る(後編)

    「コモンズ農園」の歴史的文脈を語る(後編)

    前編はこちら>>住友:「アルテ・アビタビーレ」の話で思い出されるのは、廣瀬さんが「コモンズ農園」と同じように土地と関わるプロジェクトを、じつは1996年に札幌で《生きられた土地》というタイトルで実施していたことです。これはバブル景気がはじけた後、空き地となって放置されていた土地に簡易な舞台を設置し、パフォーマンスやワークショップをおこなうものでした。カフェもあり、話し合いの場も持たれたようですし、テントが並び、そこで寝泊まりもできました。また、同時に開催されたギャラリーの展示

  • 「コモンズ農園」の歴史的文脈を語る(前編)

    「コモンズ農園」の歴史的文脈を語る(前編)

    住友:このコラムでは、今回の紀南アートウィーク2022において廣瀬智央さんが試みたことを、メールによる往復書簡という形式で美術の歴史を参照しながら振り返ってみたいと思います。全体タイトルが「みかんマンダラ」という名称で、アジアの9組のアーティストが「実り / 果実を巡る旅」、「菌と共生 / 菌根ネットワーク」、「土と根 / 見えない根を探る」という三つのテーマを持つ会場で展示を行いました。そのほとんどがアジアで活動するアーティストでしたが、廣瀬智央さんだけミラノに住む日本人作

  • 特別トークセッション「土と根の記憶 カンボジアと紀南/熊野から」テキストアーカイブ

    特別トークセッション「土と根の記憶 カンボジアと紀南/熊野から」テキストアーカイブ

    2022年10月7日(金)、みかんマンダラ展の関連イベントとして開催した特別トークセッション『土と根の記憶 カンボジアと紀南/熊野から』を文字起こしをした テキストアーカイブです。日時:2022年10月7日(金)18:00~会場:愛和荘参加費:無料ゲスト:クヴァイ・サムナン氏(カンボジアの現代アーティスト)、石倉 敏明氏(秋田公立美術大学美術学部 准教授)モデレーター:藪本 雄登(紀南アートウィーク 実行委員長/総合プロデューサー)通訳:森山 歩美ゲストスピーカークヴァイ・サ