コラム

対談企画 #6 『動物と人間のあるべき関係性とは?』

◆紀南アートウィーク対談企画 #6

<今回のゲスト>

アドベンチャーワールド 副園長
株式会社アワーズ 取締役(SDGs担当)
中尾建子さん

1988年、アドベンチャーワールドへ獣医師として入社。当初は小動物診療を担当し、教育担当も兼任しながら約30年間ジャイアンドパンダの飼育や繁殖に携わる。現在は副園長を務め、SDGs(Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)担当役員として外部講演や学校等での出張授業を行っている。
https://www.aws-s.com/
https://www.ms-aws.com/

<聞き手>

薮本 雄登
紀南アートウィーク実行委員長

<編集>
紀南編集部 by TETAU
https://good.tetau.jp/

動物と人間のあるべき関係性とは?

<目次>
1.獣医師を目指した理由と今までの歩み
2.動物と人の関係とは?
3.パンダの生態
4.アドベンチャーワールドのパンダ史
5.パンダの魅力とは?
6.動物の姿そのものがアート!?
7.アドベンチャーワールドの未来

1.獣医師を目指した理由と今までの歩み

出典:アドベンチャーワールド公式ツイッター

藪本:
本日は、貴重なお時間いただきまして、誠にありがとうございます。
私自身、母親がアドベンチャーワールドのシャチの調教師だったこともあり、アドベンチャーワールドさんとは深いご縁があります。「エコロジーと芸術史」や「動物、植物と芸術史」等は、アートの分野でも非常に注目されている分野でもあります。本日は、そのあたりのお話もお伺いできればと思います。

まず冒頭ですが、中尾さんのご経歴やバックグラウンドを教えていただけるでしょうか?

中尾さん:
実は、私は鳥取県の出身で、中学校時代は何も考えておらず、目の前にあることを一生懸命やるだけでした。そして高校に行った時「はて?私は何になるのだろう?何になりたいだろう?」と考え始めました。

鳥取県は良くも悪くも保守的で、安定した職業は公務員や教員です。周りの身近な人はみんな先生になっていますが、私自身は先生だけにはなりたくないと思っていました。大学進学や就職を考え始めた高校2年生の時に、ふと受験雑誌を見ていたら獣医という仕事があり、動物が好きだったこともあって、直感的に私これしかない!と思いました。

藪本:
そこから、受験勉強が始まったわけですね。獣医学部への入学って非常に難しいと聞いています。うちの母親の憧れの仕事だったようです。

中尾さん:
そもそも定員数が少なく、国立だと35人ほどです。幸いにも、鳥取大学の獣医学部に入ることができました。しかしながら、鳥取県には動物園や水族館が無く、元々動物園や水族館などの野生動物の飼育や管理にすごく興味があったので、たまたま応募枠のあったアドベンチャーワールドに採用していただいたという流れです。そのまま、南紀白浜にずっと住んでいます。

藪本:
新卒で入られて、最初はふれあい広場の担当をされていたのでしょうか?

中尾さん:
はい。そうです。当時は動物病院内でもそれぞれに担当動物がありました。どちらかというと、私は海の動物より陸の肉食動物や大型動物を担当したかったんですが「あなたは小さい動物よ。」と言われました(笑)。

その時に、私に大型動物を任せてください!という勇気は無くて…。悶々としている時に、動物園における教育活動に関わり始めました。あれほど先生になりたくなかったのに分からないものですね(笑)。

自分がワクワクすることを知ってもらいたいという想いはあって、入社1~2年目の頃からずっと教育活動に関わっています。

藪本:
その後、大型動物を扱ったタイミングもあったのでしょうか?

中尾さん:
結局、あまり無くて(笑)。10年間、動物病院で働いた後、ふれあい課の管理職を務めました。ただ、これまでにペンギンの繁殖プロジェクトや1994年のパンダ搬入、繁殖プロジェクトに関わらせていただきました。

2.動物と人の関係とは?

出典:アドベンチャーワールドHP

藪本:
パンダの話になったので、パンダの繁殖プロジェクトの成功、成果の原点を教えて頂きたいと思っております。何か特殊な取り組みがあるのではないかと思っています。

中尾:
ないです!(笑)。ただ、直感、感覚的なことはお伝えできるかもしれません。

藪本:
意外です。ないんですね。

少し抽象的な話で恐縮ですが、「人と動物の関係」は、どうあるべきなのか直感的で問題ないので、是非、お話が聞ければと思います。

中尾さん:
難しい話ですよね…。

よく来園される方などに「イルカって賢いの?」って言われますが、その「賢い」っていう定義がよく分からなくって。

藪本:
でも、とても重要な問いですよね?

中尾さん:
結局、「人間」を基本で考えている 。そういう意味では生きていくために、その環境に適応していくのでみんな賢いと思うんです。だって、賢くないと生きていけないですから。

藪本:
まさにそう思います。
過去の対話の中で、農業従事者と弁護士のどちらが賢いですか、と聞かれて悩んだことがあります。恐らく、最終的には農業に関わられる方のほうが賢いと言うかもしれません。直感的で恐縮ですが、超長期的な視点で考えると、実は農家の方のほうが最終的に全体最適な判断をされるような気がします。その意味で、現代の「賢さ」とは何なのでしょうかね。残念ながら、短期で合理的、効率性の高いことに重きが置かれているように思います。

中尾さん:
なるほど。確かにそうかもしれません。つまり、「賢さ」の定義を自分たちで独善的に作っていることが問題なのだと思います。人間と動物の関係でいうと、自分(人間)の目線でしか考えられないのだと思います。

3.パンダの生態

出典:アドベンチャーワールド公式facebook

中尾さん:
私も30年近くいろいろな動物のことを見ましたが、関われば関わるほどパンダって変なんです(笑)。竹を食べるのも変ですし、繁殖形態については、パンダの発情期は年に1回で、2~3日間のみ。交尾のチャンスはとても少ない状態です。また、赤ちゃんもとても小さく生まれてきます。

藪本:
えっ、そうなんですか。だから繁殖は困難を極めるわけですね。
ある意味、人間の視点で見ると非合理的で、非効率的ということですね。

中尾さん:
元々、パンダの祖先は肉食動物で肉を食べていたといわれています。肉を食べていた時にはもしかしたら少し違う繁殖形態だったのかもしれないですね。ただ、肉を食べるのは比較的早く諦めて、竹を食べるようになって進化してきたんです。多分、竹を食べることによって、非合理的・非効率的な繁殖形態であっても残ってきたんでしょうね。ある意味、他の動物と食については競合しないということで合理的ともいえます。

藪本:
竹を食べるようになったのは、競合しないという点に加えて、「たくさんあったから」ということでしょうか?

中尾さん:
竹は樹木に比べて成長と増殖の早い植物です。昔は、ヨーロッパの辺りまでパンダの祖先がいたらしいですが、もっと繁殖能力と社会性のある動物が広がることによって中国の手付かずの山にたどり着きました。そこで竹を食べるようになったんだと思います。

近年、中国の経済発展によって、山の方までインフラが整ってきています。アメリカやヨーロッパに比べて、人間による中国のインフラ整備発展が遅れたことでパンダが生き残ってきたのではないかと思います。これからはどうなるかはわかりませんが、、、

出典:写真AC

藪本:
なるほど。そうなると、これからは人の手が入らないとパンダは生きていけない可能性の方が高いのでしょうか?
そういう意味では紀南という地域を見ていると、梅の木については、もはや人の手が入らないと成り立たないということを農家の方から聞きました。そういうものが紀南に集まっているのは何かの因縁なのでしょうか。。

中尾さん:
どうなのでしょう(笑)。パンダについて生息しているところを保護、保全し、広い場所でパンダが行き来できるような環境があれば、生き残ると思います。竹は今の気候では枯れませんし、他の動物が食べることにより、競争することはありません。

ただ、やはり人間が山と山の間の谷や川沿いを開拓して、分断させますよね。そういうことが出てくると、群れずに単独で生活しているパンダの出会いが少なくなってしまい、繁殖のチャンスが減ってしまいます。それが無ければ広いところで相手を見つけるのも、食べるのも事足りない。

4.アドベンチャーワールドのパンダ史

出典:アドベンチャーワールド公式facebook

藪本:
ありがとうございます。
生息地域の保全、保護が何より重要ということですね。私は、大学のときの専攻は国際法でしたので、お話を聞いて「生物の多様性に関する条約」を思い出しました。では、少し視点を変えて、紀南、南紀白浜にパンダがいるってどういうことなのでしょうか。すごく抽象的なことで申し訳ないですけれども、パンダ外交等といった言葉もあるぐらい、政治的な意味もあると思います。

中尾さん:
そうですね。政治的なものがないとはいいませんが、私たちがパンダを迎え入れたのは純粋な考えからです。実は正式にパンダを迎える1994年以前の1988年に、100日ほどジャイアントパンダが来ていたんです。 いわゆるパンダ興行というもので、3~4か所のローテーションで短期に貸し借りをしていました。

ただ、当時、野生のパンダがたった1000頭くらいしかいない状態で国際自然保護連合から繁殖をないがしろにするパンダの移動は避けるべきと提言されました。そこで、パンダがアドベンチャーワールドから戻った後、繁殖を目的とした動物のブリーディングローンができないかということで協議をはじめました。きちんとした繁殖計画を持ってパンダを飼育、移動させるってことはちゃんと理が叶うと思います。

さらに、パンダのことを知ってもらう機会として1994年にパンダを迎え入れました。世界で初めてのことですから、簡単なことではなかったと思います。

藪本:
なるほど。その時のアドベンチャーワールドの担当者のビジョンや情熱が今も生き、現在の繁殖結果につながっているのではないでしょうか。世界初ということで、相当なチャレンジだったかと思います。

中尾さん:
そうですね。私は当時、関わっていないのでわかりませんが、多くの失敗や苦労があったと聞いています。その意味では、やはりそこで繋がった中国のご担当の方との信頼関係って他の施設ではありえないような強い絆があると思います。中国の方も人間関係をすごく大切にされているので、今は、その関係性を絶対崩してはいけないなって思っています。

もちろん、全てが良い結果ばかりではなかったです。しかしながら、パンダが死亡した時に、先方から「人と同じで、命あるものだから仕方ないよ。」とおっしゃっていただいたり、何かあればすぐに中国側から助言を頂いたり、研究のために受け入れて頂いたりとか。本当にありがたいです。それはやはり30年近い繋がりが、現状の成果を下支えしてくれていると思います。

5.パンダの魅力とは?

出典:アドベンチャーワールド公式facebook

藪本:
ところで、パンダの魅力って何でしょうか。説明不要で、「かわいい」というのはわかります(笑)。ただ、単に「かわいい」という言葉だけでは、説明しきれない部分があると思います。アドベンチャーワールドさんのSNSのパンダ関連の投稿の「いいね」の数とか本当に凄まじいと思います。

中尾さん:
私が思う最大魅力は「変で、不思議な動物」だということです。あとは、例えば、仕草がすごく人間っぽく、行動を見ていても人間との間に「共感性」「共通性」があると思います。猿の仲間は赤ちゃんがお母さんにしがみついているので抱っこしているように見えますが、パンダのようにお母さんが赤ちゃんを抱っこする動物はなかなかいません。

また、パンダの赤ちゃんが小さく生まれて大きく育って離乳するところまでを見ると、人間の赤ちゃんの成長と似ている気がします。そのため、見ている人がパンダの親のような気分になるのではないかと。私の主観ではありますが、、、

藪本:
なるほど。人間との「共通点」の多さに由来しているわけですね。

また、視点は変わりますが、「客寄せパンダ」という言葉があるぐらい、パンダは商業上の関わりもあると思います。そこはどう考えていらっしゃいますか。突っ込んだ質問で恐縮ですけれど。

中尾さん:
やはり、動物園って、基本は見世物ですよ。だって、見世物小屋から始まっていますから。でも、今の世の中になって、それだけだと済まないことがたくさんあります。

動物園は、野生と人間との間の「メッセンジャー」みたいな場所だと思います。だから、私たちはパンダ等の動物と触れ合ってもらうことによって、多くの人が動物に関心を持っていただけたらと思っています。その次に関心を持った人がパンダを保全、保護しようと思って頂いたり、保全、保護を考え始めたら、次はどのような環境で生きているのか知るために中国に行ってみようとか考えていただきたいと思っています。もちろん、「かわいい」ので、単純にパンダのグッズを買おうっていうのもありがたいです。

それは本当にパンダだけじゃないですよ。野生動物がそれぞれにもつメッセージ性を伝えることで、動物は動物園と社会との橋渡しの役目になってくれていると感じますし、動物がもつバックグラウンドをどのように最適に伝えていくかっていうのが動物園の使命だと思います。

藪本:
そういう意味では、動物園とアートは一緒ですよね。動物園は多くの人が動物と触れ合うことで、動物と共に暮らすより良い未来の姿とは何かを社会に働きかけています。一方、メディアとしてのアートもさまざまな媒介や手段を通じて、どんな世界を生きたいか、どんな世界を残すべきかという問い立てをしているだけですので、目的は一緒だと思います。

中尾さん:
そうですよね。そういうような考え方をすれば、動物園とアートの親和性が高いことがよくわかりますね。それに動物の姿は、ただそれだけでアートだと思います。また、動物たちが組み上げていく何かの物体等もアートといえるかもしれません。

6.動物の姿そのものがアート!?

出典:アドベンチャーワールド公式facebook

中尾さん:
私は頭骨標本を見るのがすごく好きで。全身骨格は作るのが大変なのですが、頭骨だったら簡単に作ることができます。それが非常に面白いんです!

藪本:
えっ、頭骨標本!?(笑)。それは何が面白いのでしょうか(笑)?

中尾さん:
例えば、パンダは丸い顔をしていますよね。しかし、実際の頭の骨って… 丸くないんですよ。

藪本:
どういうことですか!?人と一緒だったり?

中尾さん:
いや、人とも全然違います。パンダって丸い顔をしていますが、それは決して頭の骨が丸いわけではなく、頭全体を覆うようにたくさんの筋肉がついているんです。

簡単に説明すると、 頭頂部から顎にかけて大量の筋肉がついてることで顔が丸くなっています。固い竹をたくさん噛むためには、すごく強靭な筋肉が必要ですが、もし竹を食べなかったら脳重量が多く、丸い顔になっていなかったんじゃないかといわれています。これだけでもワクワクしませんか!?

参考:パンダの頭骨

藪本:
そうですね(笑)!つまり、顔に筋肉をつけないと竹を食べられないから 、そうなったってことですね!

中尾さん:
そうですね。だから、パンダが丸くて可愛らしいのは竹を食べるからだと思います。
熊は雑食動物ですけれど、もっと果実とかを食べるのでパンダのような頭骨ではないです。ライオンは肉を食べるから頭は、ぺったんこになりますね。

やはり環境への「適応」ですよね。適応した結果、動物の構造自体が、長年かけて最適な構造になっているのだと思います。 

藪本:
そういうことですね。その構造上の進化だけでも、その動物自体の芸術史を編める可能性があると思いました。また、その構造に基づいた行動様式等を含めて、動物におけるアートとなる可能性がありますね。最近、動物の視点から芸術史を編み直す必要があるのではないかということが、「エコロジーと芸術史」という分野では議論されていますが、少し理解できたように思います。

7.アドベンチャーワールドの未来

出典:株式会社アワーズHP

藪本:
続いて、アドベンチャーワールドの未来のお話をお伺いしたいと思います。ちなみに、今、園内の獣医師さんやスタッフ数はどのくらいなのでしょうか?

中尾さん:
獣医師は7人です。飼育スタッフは100名ぐらいおります。

藪本:
現場ではどんな動きをして、どんなことを伝えられているのですか?

中尾さん:
私はもう飼育からは少し離れてしまいましたが、飼育メンバーの中には自らやりたいことを発信して動物の「福祉」を考えるメンバーが出てきています。

藪本:
どういうことですか?動物の福祉っていうのは?

中尾さん:
やはり、動物園ではどうしても動物を狭いところで飼育せざるをえません。しかし、動物にとって、やはり野生で生きることは「好きなことができる選択肢」があるということです。もちろん、飼育していることで食・住は物理的に整備されているはずですが、それだけで動物たちは幸せかなと。

コロナにも共通しますが、やはり、自分がしたいことを制限されるってすごいストレスに感じるわけですよね。それは全くゼロにはできないです。ただ、刺激は必須だと思います。目の前にただ餌を置かれるよりは、どこに餌があるんだろう等、探すほうが動物にとってはワクワクします。

藪本:
人間と一緒ですよね。私も好きな本を自由にアクセスして、読書できないと、生きている意味を感じません(笑)。
アワーズ山本社長がおっしゃっていたような「成長や達成感によって心が満たされることで自分自身を幸せにし、それが周りを笑顔にしていく」という思想にもつながりますね。中尾さんを中心に、そういった考え方が根付き、スタッフ自身が自発的に動けている状態なのではないでしょうか。その意味では、アドベンチャーワールドの5年、10年、100年や300年後が気になります。

中尾さん:
300年って言われたら、私も生きていなので何とも言えませんが、動物園自体は残っていて欲しいし、残っている確信はあります。

藪本:
そうですよね。ただ、すごく悲観的に考えると、そもそも、300年後に動物がいない可能性はゼロではないですよね?

中尾さん:
残念ながらそうですね。本当に難しくなってきています。国内外の動物園の個体を1飼育個体群として考え、移動していかないと、血統的に偏りが出てきてしまいます。

近年では、ヨーロッパや韓国から苦労してトラやチーターを受け入れましたが、そうやって動物園間で動物の交換をしていかないといけません。そういったことをしないと、同じような動物園が30年後もあるのかなといわれると、わからないと思います。
やはり、野生からの搬入ができない飼育個体というのは限られてしまいます。いくら繁殖させても限度が出てくると思います。遺伝的に多様性がないということは、病気に極めて弱くなってしまいます。

出典:アドベンチャーワールド公式facebook

藪本:
そういう意味では、アドベンチャーワールドに動物がいなくなるというローカルの問題や課題は、全世界の問題と直結するわけですね。まさに、今回の紀南アートウィークのテーマである「ローカル」と「グローバル」の事象をどう繋げていくか、ということとも直結します。世界で問題となっているエコロジー、生物多様性などの問題に紀南からアクションをとっていくべきです。

中尾さん:
そんなに大きな視点ではあまり考えたことはありませんでしたが、生物多様性などは、まさにローカルでもあり、グローバルな問題ですよね。

藪本:
ローカルな活動がグローバルなアクションに直結する時代になったと思います。紀南アートウィークを通じて、紀南の方々や紀南の子ども達に伝えていきたいと思います。 

中尾さん:
私も最初は動物のことが好きで関わっていましたが、社会も大きく変わる中で目の前の動物だけではなく、その「背景」もしっかり見ないといけないなっていうのは感じています。良い運営をしていかなければ、私たちの存在意義がなくなってしまうと思います。前お話しした通り、私達の機能は動物が伝えようとするメッセージをどう、うまく伝えるかということです。運営を誤ると、「齟齬」が出てきてしまう。だから、アドベンチャーワールドという場、触れ合う動物を通して、もう少し広い視野で物事を考える機会を提示することが本当に必要となってくると思います。

藪本:
名称が違うだけで、美術館やアートが持つ機能と同じですね。

中尾さん:
ちょっと私事ですが、パンダを飼っていたらパンダの竹問題にすごく興味を持って、 今は竹の利活用を頑張りたいなって思っています。日本では竹害といって、里山に侵食したり、地滑りが起きて山が崩れてしまったりする問題もありますが、それらを利活用したらもっと環境に優しいアクションができるのではないかなと。「パンダバンブープロジェクト」というのを立ち上げました。

藪本:
素晴らしいですね。竹とアートを組み合わせた活動をされているということも伺いましたので、是非コラボレーションさせて下さい!

最後に、アートウィークにご期待されることはありますか?

中尾さん:
動物園とアートは、メディアとして同じ機能を持っていると思います。親和性が高いので、いろいろな分野や課題解決のために、一緒に活動ができれば嬉しいです。また、アドベンチャーワールドの活動を世界に発信頂けると嬉しいです。

藪本:
もちろんです!
気づいたら、2時間経過しておりました(笑)。貴重なお時間を頂き、すごく勉強になりました。 ありがとうございました。

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