コラム
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みかんと人間の芸術人類学 (後編)
-「みかんマンダラ」展を終えて-中編はコチラ >>(3)菌と共生 / 菌根ネットワーク南方熊楠顕彰館からほど近い場所に位置する、アーティストの杵村(廣本)直子と杵村史郎が運営する古民家アトリエ「もじけハウス」。そこに隣接するSOUZOU(旧岩橋邸)では、屋内、植生豊かな庭と蔵にて、熊楠が生涯を通して見つめ続けた菌や植物などをテーマに、アジアのアーティストたちの見つめる「植物」との関わりとその多様な視点を紹介しました。私たちが肉眼で見ることのできない菌の世界は、地中の植物の根と
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みかんと人間の芸術人類学 (中編)
-「みかんマンダラ」展を終えて-前編はコチラ >>2みかんと人間の境界を越えて(1)実り / 果実を巡る旅地元農家が共同出資で設立した「秋津野直売所きてら」に隣接する「ゆい倉庫」では、地域で生産された柑橘類などが加工され、様々な加工品が販売されています。地域の生産者の方々のもとで実った果実が集められ、加工・販売されるこの場所は果実の一つの「おわり」の場所ともいえます。しかしながら、私たちが食すことで「みかんの旅」は終わるのではなく、身体を通して、人間を含めた生
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みかんと人間の芸術人類学 (前編)
-「みかんマンダラ」展を終えて-紀南アートウィーク実行委員長藪本雄登1原理を超えた「みかん」はありうるのかみかんを育てるのは楽しい。ただ、市場にいくと腹が立つことがある。割り合わないあるみかん農家の言葉和歌山県田辺のみかん農園に入る。素晴らしい景観がそこにあります。「みかん」という果実の形、大きさ、糖度等の画一的な基準に囚われず、既存の市場原理を越えた「みかん」はあり得るのでしょうか。<夏みかんの木と田辺湾を望む景観@山本みかん農園にて> 写真:筆者撮影現代において、「みかん
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「山路紙」から世界を考察する ~龍神村から届けるメッセージ~
〈今回のゲスト〉美術家 奥野誠/美術家 奥野佳世1984年に和歌山県日高郡龍神村(現田辺市龍神村)にご夫婦で移住し、「龍神村国際芸術村」の運営に携わる。廃校を活用した地域おこしを開始し、地域の自然、文化、歴史の聞き取り調査などをもとに、途絶えていた龍神村「山路紙(さんじがみ)」を復活させる。紙の文化と森林についてのメッセージを伝えながら、紙漉き技法を用いた造形作品の制作による表現を続けている。また、和歌山県環境学習アドバイザーとして、楮(こうぞ)の原木採取から紙を漉くまでの行
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海は漁師の生活の場~次世代に残したい白浜の漁業~
紀南アートウィーク対談企画 #41〈今回のゲスト〉三栖敏夫(みすとしお)さん和歌山県西牟婁郡の瀬戸鉛山村(現在の白浜町)出身。終戦後、「手っ取り早く稼げる」ことからアワビとりや定置網の漁師として仕事を始める。40歳ごろから一本釣りを始め、経験豊富な船長として、白浜沖で釣り船を出したりもしていた。現在89歳。今でも現役で海に出て漁をしている。白浜で残り少ない一本釣りをしている漁師。〈聞き手〉藪本 雄登紀南アートウィーク実行委員長海は漁師の生活の場~次世代に残したい白浜の漁業~目
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「みかんマンダラ」展に向けたリサーチまとめ
なぜ人間は、みかんとともに歩んできたのでしょうか。そして、なぜ日本人は、鏡餅の上にみかんを置き、お正月には自宅の玄関に柑橘を飾るのでしょうか。西洋世界では、みかんは太陽と豊穣の象徴として捉えられてきました。日本でも同様に、橘(みかんの原種)は、太陽神・アマテラスとその系譜を支える機能を果たしてきました。ただ、現代を生きる私達は、太陽神や目に見える果実、資本に頼りすぎてはいないでしょうか。他方、紀南/熊野地域は「根の国」といわれ、樹木神・スサノオを祀る場所でもあります。目に見え
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紀南「柑橘」を主体にした「みかんマンダラ展」を10/6〜10/16、和歌山県田辺市にて開催!展示×イベント一覧発表!
デザイン©ColoGraphical紀南アートウィーク実行委員会では、和歌山県紀南地方の地域資源である柑橘をテーマとした本年度のアートプロジェクト「みかんコレクティヴ」を実施しており、2022年10月6日 (木)〜10月16日 (日)の11日間にわたり和歌山県田辺市複数箇所にて「みかんマンダラ展」の作品展示及び関連イベントを開催いたします。【開催概要】日程 : 2022年10月6日(木)~10月16日(日)11日間時間 : 各展示会場による会場 : 和歌山県紀南地域田辺市内各
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「みかん神話」VR 会場紹介
tanabe en+は、地域の魅力的なヒト、モノ、コトをゆるやかに混ぜ合わせながら、新たな発見や出会いの「縁 (en)」を結ぶ紀南の交流拠点。そのコミュニティー・ハブにて、今年6月に公開したβ版の進化版「みかん神話」を展示いたします。VRでしか表現できない「みかんと神話」「根と果実の世界を反転」のアート空間(ワールド)を実際にヘッドセットを着用しご体験いただけます。また、展覧会期中の10月9日(日)には空間内でのVR音楽ライブも実施予定。*会期中、「みかんマンダラ」展のインフ
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「土と根 / 見えない根を探る」会場紹介
かつて田内栄一が1957年に市の文化発展のため田辺市古尾に建てた旅館「愛和荘」は、国内外の著名人が訪れるなど、地域の文化交流の拠点でした。現在はその屋号を引き継ぎ、上野山城跡の古民家を利用した旅館として運営されています。田辺市街と田辺湾を見渡せる場所から、地中にある根とその土を知覚することで、豊かさを生み出す土壌に注目します。 本会場では、廣瀬智央、ジェームズ・ジャック/南条嘉毅/吉野祥太郎によるBacilli(バシライ)、クワァイ・サムナンによる3作家の展示を行います。 廣
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「菌と共生 / 菌根ネットワーク」会場紹介
南方熊楠顕彰館からもほど近い場所に位置する、アーティストの杵村(廣本)直子と杵村史郎が運営する古民家アトリエ「もじけハウス」。そこに隣接するSOUZOUでは、和歌山県・中辺路在住のサウンドアートユニットAWAYAやアウラ現代藝術振興財団のコレクションからアジアのアーティストの作品を中心に展示します。屋内、植生豊かな庭と蔵にて、熊楠が生涯を通し見つめ続けた菌や植物などをテーマに、アジアのアーティストたちの見つめる「植物」との関わりとその多様な視点を紹介します。 私たちが肉眼で見
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「実り / 果実を巡る旅」会場紹介
地元農家達が共同出資で設立した「秋津野直売所きてら」に隣接する「ゆい倉庫」では、地域で生産されたかんきつ類などから様々な加工品が製造・販売されています。地域の生産者の方々のもとでたわわに実った果実が集められ、販売そして加工されるこの場所は、果実の一つの終着地点ともいえます。しかし、私たちが食すことで「みかんの旅」は終わるのではなく、体を通して、人間を含めた大きな循環の途中にあるとも考えられます。本会場では、廣瀬智央による柑橘類などを使用したインスタレーション(空間展示)を展開
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<I>opportunity展 アーティスト・トーク テキストアーカイブ
2022年4月16日に開催したアーティスト・トークセッションのテキストアーカイブとなります。日時:2022年4月16日(土)会場:真珠ビル参加費:無料登壇者:河野愛(現代美術作家) 堀井ヒロツグ(写真家) 真鍋吉広(南紀白浜ディープ桟橋実行委員会会長 小山安彦(南紀白浜ディープ桟橋実行委員会メンバー)聞き手:藪本 雄登(「紀南アートウィーク」実行委員)【登壇者河野愛さん】滋賀県出身。2007年京都市